【コーヒー】
 

 

  
今日は日曜日。
私はぼーっと炬燵に入りテレビを見ていた。
家には誰もいないみたいでテレビの音だけが響く。
テレビでは若手のお笑い漫才師が楽しそうに話しをしている。


「ふぁ・・・。眠い・・・。」


私はぼーっとしたを頭を振りながら熱い入れたてコーヒーを啜った。
その時玄関が途端に騒がしくなった。


「くぅ〜〜〜〜。寒ぃ〜〜〜〜〜〜〜っ!!」
大きな声で叫びながら許婚の乱馬が現れた。
「寒い。寒い。」
そう言いながら乱馬は炬燵に潜り込んだ。
乱馬が炬燵に入ったせいか炬燵の中に冷たい風が入る。
せっかく静かだった居間が乱馬が現れたせいで途端にうるさくなった。



せっかく静かだったのにぃ〜・・・。



「寒い寒いうっさいわね!少しは黙ってなさいよ!」
私がじろりと乱馬を睨むと乱馬はむっとしながら炬燵から顔を出した。
「ホンットかわいくねぇーなぁ〜!」
ふんと私は乱馬から顔をそらした。
「あのなぁ。俺はこのクソ寒い中ランニングしてきたんだぞ!
もっと他に言いようあるだろーがっ!」
「何よ!私なんて毎日朝早く起きてランニングしてるわよ!
この時間で寒いって言うなんて修行が足りないのよっ!修行がっ!」
「なんだとぉ!おめーは何でそういう物の言い方しかできねぇーんだ!?」
「あ〜ら。腹立ったの?
腹が立つってことは図星って証拠よっ!」
私は指をびしっと乱馬に指した。
「・・・かわいくねー・・・。」
乱馬はぼそりと言うと再び炬燵で丸くなった。



まったく・・・。
情けない・・・。



私は軽く肩を竦めると再びテレビに目線を映した。
私と乱馬の間には会話は全くなく居間にはテレビの中の空しい笑い声が響く。
私再びコーヒーを啜った。
その時むくっと乱馬が起き上がった。
じーっとこっち見ている。



「おい。」
「なっ・・・なによっ!!」
私は思わず身構えてしまう。



なによっ!
さっきのこと怒ってるわけ?
謝らないわよっ!
だって本当のことだものっ!




「なんだそれ。」
乱馬は私のマグカップを指差した。
「へっ?」
私は身構えてただけに拍子抜けしてきょとんと乱馬を見つめ、
その後マグカップに目線を落とした。
「マグカップ。」
「ぶわぁ〜かっ!んなこたぁ分かってるよ!ちげーよっ!その中身だよっ!」
「へっ?あぁ。コーヒー。」
「さっきからする匂いはそれか。」
乱馬は納得したようにうんうんと頷いてる。
「ふ〜ん。随分いいもん飲んでんじゃねぇーか。」
乱馬はじーっと私のマグカップを見つめた。
「何よ。飲みたいならまだコーヒーメーカーに入ってるわよ。
さっき落としたばかりだから。」
私は台所へ視線を移した。
「・・・さみぃーな・・・。」
「あのねぇ。台所なんてすぐそこでしょーがっ!」
と私が叫んだ途端目の前のマグカップが移動した。
「えっ?」
「これでいいや。」
乱馬はそう言うと私の飲みかけのコーヒーに口をつけた。



えっ?
えっ!?
えぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?



「あのっ・・・乱馬・・・それ・・・。」
「んあ?」
乱馬はコーヒーを飲みながら私を見た。
「それ・・・。」
「んだよ。ケチケチすんなよっ!いーじゃねぇーか。
なくなったらおめーがまたコーヒー注いで来いよ。」
乱馬は呆れたように私を見た。



いや。
そーじゃなくて・・・。
それって・・・
間接キスって・・・世間では言うんじゃ・・・。



「あぁ〜。うめっ。あったけー。」
鈍感な乱馬は全くそんなことに気づくわけもなくゴクゴク飲んでいる。
だんだん私の頬が熱くなっていくのを感じる。



ど・・・どーしよ〜。
なんで乱馬はこんなに普通なわけ!?



「ごっそーさん♪ぷはー。寒い日はコーヒーに限るぜっ!」
乱馬は飲み終わると満足そうに炬燵に潜り込んだ。
「・・・・・。」
マグカップの中を覗くと綺麗に飲み終わってる。
「・・・全部飲んじゃった・・・。」
私はぽそりと呟いた。
隣から気持ちよさそうなイビキが聞こえてくる。
「・・・しっ・・・信じらんなぁ〜い・・・。」
と呟きながらも思わず顔が緩んでしまう。



間接キスしちゃったよ・・・。



私はちらりと乱馬を見ると無邪気な顔で寝ている。
思わず吹き出した。
「乱馬ってさりげなく大胆な事するよね。」
私は乱馬の鼻を摘まんだ。
「ふががっ!」
変な叫び声を上げて暴れ、
私の手が離れるとまたくぅくぅと気持ち良さそうに寝息を立てた。
「どんかぁ〜ん。」
私はピンとでこぴんすると微笑んだ。
「そんな所も大好きなんだけどね。」



ねぇ。乱馬。
間接キスの話したらアンタどんな顔する?
いつもみたいに真っ赤になって動揺する?
それとも私の唇に本当にキスしてくれる?
ねぇ。乱馬?



私はそっとマグカップにキスをした。



「へへへっvv」



なんだか急に退屈だった日曜がピンク色に変わった。
やっぱり乱馬ってすごいわ。




=おわり=

 

「ひなたぼっこ」の清華サマから頂きました。「居間で2人きり。一つの物を半分こv」という私のリクエストを受けて下さったのですーv 寒いと動くの嫌だし、誰もいないから少しは素直になれるハズ!も〜う、ほんのりラブで原作の雰囲気に近い2人ですよねっ。当たり前のように行動した乱馬くんだけど、自然すぎて自分では気が付いていない辺り、後であたふたしてしまいそう(^^)。リクエストを聞いて下さるなんて、もうもったいない〜!といいながら大喜びvv
清華サマ、ありがとうございました!

〓CLOSE〓