【Happy Time】
 

 

  
「早乙女乱馬・・・あなたは病める時も健やかなる時もこの者を愛し、敬うことを誓いますか?」
「誓います。」
「天道あかね・・・あなたは病める時も健やかなる時もこの者を愛し、敬うことを誓いますか?」
「誓います・・・・。」


「では誓いのキスを・・・。」


俺はあかねの顔の前にあるベールを持ち上げ、顔を近づけた・・・。





「こらぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「ふがっ!?」
俺が目を開けるとそこには鬼の形相をしたあかねがいた。
「もう着くわよ。さっさとシートベルトしなさい!」
あかねはブツブツ言いながらシートベルトをした。

なんでぃ。夢か・・・。
だよなぁ〜。
結婚式は昨日だったんだもんな〜。

俺はシートベルトをしながら隣のあかねを見た。
あかねは俺の視線には気づかないようでヘッドフォンをして機内の音楽を聴いている。


昨日俺とあかねは教会で式を挙げた。
今、新婚旅行の真っ最中ってなわけだ。
俺とあかねが乗っている飛行機はもうすぐタイのプーケット島に降り立つ。



それにしてあかねの奴。
どうせならキスし終わってから起こせよな・・・。


俺が小さな声で文句を言ったら
「何!?」
とヘッドフォンを外して俺を睨みつけた。


なんでこんな時だけ気づくんだよ。
いつもは鈍感なくせによぉ〜。


「なんでもねー。」
俺はそう言うとまた目を閉じた。
「もう寝ちゃ駄目よ。時差があんまりないんだから寝ると夜寝れなくなるわよ。」
「うるせーなぁ〜。俺は眠ぃんだよ。
 昨日さんざん親父達に飲まされたんだからな。」
「駄目だったらぁ〜!」
あかねは俺の体を揺すった。
俺は片目だけあけてあかねを見た。
そこには少し頬を膨らましたあかねがいた。

うわ〜・・・。
めちゃくちゃかわいい・・・。

俺の肩を掴んでいるあかねの手を掴んだ。

「乱馬・・・?」
あかねはしばらくじっとしていたがそのままゆっくり俺の肩に頭をもたれきた・・・。
俺は目を開けてあかねを見たが、心地よい肩の重さに目を閉じた・・・。







「お客様・・・到着いたしましたが・・・。お客様!」
「ふぇっ!?」

俺が目をあけると飛行機の中にはもう誰もいなかった。
スチューワデスが困ったように俺たちの横にいた。
「あかねっ!起きろっ!!!もう誰もいないぞっ!」
「えぇっ!!」
あかねも俺の言葉にぴょんと起き上がった。

「「すいませんっ!!」」

俺とあかねは慌てて飛行機を降りた。


「うふふ。新婚さんかしら?かわいらしいわね〜。」
後からスチューワーデスさんの笑い声が聞こえた。


うるせーやいっ!












俺達が飛行機を降りて入国審査の所に行くと結構日本人が並んでいた。
随分遅くに飛行機を降りた為、一番最後に並ぶはめになった。


「あ〜ぁ。寝ちゃった。」
「おめー。あんなに俺に寝るなって言っておきながら・・・。」
「だぁってぇ〜。乱馬の肩って気持ちいいんだもんvv」
あかねはえへへって笑った。
俺は顔に血が上るのを感じた。

こ・・・コイツはワザとこんなかわいいこと言ってるのか?
や・・・やべー・・・。

俺はぷいっと横を向いた。
あかねは全く気づいてないようで、俺に話しかけてくる。

「ねぇ。やっぱり向こうの人は黒いんだね〜。」
「お・・・おぅ。」
「見て見て。あの人なんてめちゃくちゃタイ人っぽぉ〜いvv
 あ〜ん。海外って感じ♪ね!」
そう言いながら俺の顔を覗き込んできた。


ばっ・・・ばかっ!
俺の顔を見んじゃねー!


俺が焦った瞬間、俺の番が来た。


「あっ。俺だ。行ってくる。」
俺は慌ててカウンターに向かった。


そこには太っちょのタイ人がいた。
「コンニチハ。」
「こんちは。」
デブのタイ人はニッコリ微笑んだ。
な・・・なんだ?
随分フレンドリーな奴だな。
「観光デスカ?」
「はい。」
「ドコノホテルデスカ?」
「バンヤンツリー。」
「ソコ。イイホテル。楽シンデクダイ。イイ旅ヲ。」
俺にパスポートを返してそう言った。


なんだ。随分簡単なんだな。




俺は終わるとあかねを待った。
あかねはデブのタイ人と随分楽しそうに話している。
長げーな。
俺なんて2,3分で終わったのに・・・。
あかねはまだタイ人と話している。
何話してんだ?

するとあかねが入国審査が終わったらしくてけてけと俺の所に来た。


「随分遅かったんだな。」
「なんかプロポーズされた。」
あかねはそう言うと笑った。
「なぁにぃ〜〜〜〜〜〜!!!」
「でもちゃんと断ったよ!なんか・・・美人ね。結婚してくださぁいって。」
「なんじゃそりゃぁ!仕事しろよっ!」
俺は後ろを睨んだ。
するとデブのタイ人はあかねが名残惜しいらしく振り返って手を振っていた。
「あんのやろぉ〜〜〜〜〜〜!」
俺がぎゅっと拳を握るとあかねは『まぁまぁ。』となだめた。


ちくしょぉ〜〜〜〜。
あかねは昨日から俺のもんなんだからな!
勝手にあかねに話しかけるんじゃね〜!
よりによってあかねにプロポーズだとぉ〜!
タイ人、油断ならねぇ〜〜〜〜!







俺とあかねが荷物を受け取って出口に行くと怪しいタイ人がたくさんいた。
みんなプラカードを持っている。
「ここに現地案内の人がいるはずだよね〜・・・。」
「おぉ。どこだ?」

「サオトメさぁ〜ん。イマスカァ〜?」
どこからか俺の名前を呼ぶ声が。
「ねぇ。乱馬。あれじゃない?」
俺たちと目が合うと怪しいタイ人が嬉しそうに駆け寄ってきた。
「サオトメさん、こんにちは。パイ言イマス。ヨロシクオネゲーシマス。」
パイさんはぺこりと頭を下げた。

あ・・・怪しい。
日本語がイマイチだし。


「私日本語アマリ上手ジャナイデス。スイマセン。」
なんだ。わかってんじゃん。
「気にしないで下さいね。それに十分お上手ですよ。」
あかねが優しくパイさんに微笑んだ。
「サオトメさん、ヤサシイ・・・。
 デハ車に案内シマス。ココデお待ちクダセー。」
そう言うとパイさんは無線を持ってどこかへ行った・・・。

「なんかおもしろそうな人だよね。」
あかねが笑いながら俺に話しかけてきた。
「確かに。オネゲーシマスだしな。」
「あはは。あれは笑いそうになった。」
「どっちが先に噴出すか競争な。」
「え〜!?そんな事言われたら絶対私が笑っちゃうじゃない!」
「笑ったら旅行中相手の言うこと聞くのな。」
「なにそれぇ〜!」
「おっと。パイさん戻って来たぜ。」
「ちょっ・・・!」

「オメタセシマシタ〜!」
いきなり間違ってるし。
ちらりとあかねの顔をみるともう笑いそうになってる。
ふっ。この勝負俺の勝ちだな。





「コチラガ車にナリマス。どうぞお乗りクダサイ。」
俺とあかねは白いワゴン車に乗り込んだ。

パイさんは助手席に乗り後ろを振り返った。
「オツカレサマデシタ〜。遠いトコロカラ、ヨクゾイラッチャイマシタ〜。」
あかねはもう涙目だ。
「サオトメさんは新婚サンデスカ?」
「はい。」
「オメデトゴゼーマス!!!」


「ぶっはははははっ!!!」


とうとうあかねは限界が来たらしい。


「アカネさんどうしました?」
「もう駄目。おもしろすぎるぅ〜〜〜〜!
 パイさん。日本語がところどころ変っ!」
「そんなに変デスカ?」
パイさんもあかねの笑い方に度肝を抜かれている。
「いや。それがパイさんのいいところだし。」
俺も笑いを堪えながら言った。
「アハハハ。」
パイさんもなんだかあかねの笑いがうつったらしく笑い始めた。

結局運転手さんにまで伝染し、車内は笑いで一杯になった。




あかね、俺の奴隷決定。










「あ〜〜〜〜!不覚っ!」
「くっくっくっ。」
「もう!ヤダ〜〜〜〜!」
「まぁ。そんなに変な命令はしないから安心しろよ。」
「どうだかっ!」
あかねはじろりと俺を睨んだ。
「んな目で見んなよ。」
「大体私はあの賭けに同意してないから賭けは成立してないじゃない!」
「うるせー。決まったもんは決まったんだよ。あかねは旅行中奴隷決定。」
あかねは恨めしそうに俺を見てはぁ〜とでかいため息をついた。



そして俺とあかねはホテルに連れて来れられた。
「ココガ、バンヤンツリーデス。ココいいホテルデス。素敵な時をお過ごしクダセーマシ。」
パイさんにチェックインをしてもらい、あかねと俺は部屋に向かった。





「うわ〜〜〜〜〜vv綺麗!海が見えるぅ〜〜〜〜vv
 ここプライベートビーチがあるんだって!今から行こう・・・・う゛っ・・・。」
俺はゴロリとベットに横になった。
「あかねちゃん♪」
「な・・・なによ。」
「命令。マッサージして♪」
「えぇ〜〜〜〜〜!?」
「なんだよ。命令だぞ。」
「だってせっかく海があるのに・・・。」
「あかね。おめーは旅行中なんだっけ?」
「・・・・・・乱馬の奴隷・・・。」
「じゃあよろしく♪」
あかねはしぶしぶベットに上がり、マッサージした。
「ったく・・・なんで私がこんなことしなくちゃいけないのよ・・・。」
「それはおめーが負けたからだろ?うお〜。気持ちいいぜ。」
「そんなことはわかってるわよっ!!!」
あかねはそう言いながら思いっきり俺の体に体重をかけてきた。
「ぐはっ!!!・・・・いってぇ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
「ふんっ!!!」
「あかねぇ〜!てめぇ〜〜〜〜〜!」
「何よ。」
「いてーじゃねーかっ!」
「そりゃ痛いでしょうね〜。私の全体重をかけたんだから。」
「おめーみてーな寸胴女が体重かけたら骨が折れるじゃねーか。」
「なんですってぇ〜!!」
「大体よ〜。海だっておめーが寸胴な体をさらさなくて済むように
 せっかく俺が気を使ってんのによ〜。」
「・・・・乱馬の・・・・。」
「あぁ?」
「馬鹿ぁーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
「ぐはっ!!!」
あかねは俺の背中にかかと落しを決めると部屋を出て行った・・・。






や・・・やっちまった・・・・。
あんなこと言うつもりなかったのに・・・。
ホントは命令して、キスでもしてもらおうかなって思ってたのに。

俺は慌ててあかねの後を追った・・・。





















乱馬の馬鹿。馬鹿。馬鹿。
何よ。
せっかく初めての二人っきりの旅行なのに・・・。
もう少し優しくしてくれてもいいじゃないっ!
大体何よ!奴隷って!
あぁ〜腹立つっ!


私はとりあえず走った。
どれぐらい走っただろう・・・。
目の前には綺麗なビーチが広がった・・・。



「うわ〜〜〜〜〜。綺麗。真っ青!」


そこには真っ青な海が広がっていた。

波打ち際まで行くとそ肉眼でも確認できるぐらい綺麗な色の魚が泳いでいる。


「ホント・・・水綺麗だな〜・・・。」
私は波打ち際にしゃがみ込んだ。
日本人がたくさん泊まっているみたいで、
周りにはたくさんの日本人がいた。


あ。あそこは新婚さんかな?
ふたりで微笑みながらパラソルの下でジュースを飲んでいる。


「いいな〜・・・。」

私は思わず呟いちゃった・・・。
ホントは乱馬とあんな風に過ごしたかったのにな・・・。
なのに乱馬ったら!
私は目を閉じ膝に顔を埋めた。


「ねぇねぇ。彼女日本人でしょ?」
私が顔を上げるとそこには日本人の男の子二人いた。
「一人でプーケットにきたの?」


ナンパだ。


私は素早く立ち上がると彼らと反対方向に歩き始めた。
「ちょっと待ってよ〜。」
彼らは私の後を追ってきた。
「ねぇねぇ。どこ行くの?一人じゃつまんないでしょ?
 俺らと一緒に泳ごうよ。」
私は無視して歩き続けた。
「ねぇったら〜。無視しないでよぉ〜。」
そう言って彼らの一人が私の肩を掴んだ。


「触らないでっ!!」


私は思いっきり彼の手を払った。
でも思いっきりなのが不味かった・・・。
私の手は勢い良く彼らの顔に入った。


「いってぇ〜〜〜〜〜!」
「あっ・・・。」
「てめー、何しやがるっ!」
「な・・・何よっ!元はといえばあなた達が悪いんじゃないっ!」
「なんだとぉ〜!」
「ふんっ!」
「この女〜。いい気になりやがって〜!!」
彼は手を振り上げた。


ぶたれるっ!!


私は瞳を閉じ、受けの姿勢を取った。
そしてパンと音が響いた・・・。



えっ・・・?
私痛くない・・・?



音はしたけど、私にはなんの衝撃もない。
私は瞳を開けた。


目の前には真っ赤なチャイナ服があった。



乱馬っ!?
ど・・・どうしてっ!?



そこには乱馬が私を庇うように立っていた。



「てめー、いきなりなんだよっ!」
「女に手を上げるのは良くねーな。」
「うっせー!てめーには関係ねーだろ!」
「それが関係あるんだよ。」

乱馬はそう言うと私を抱き締めた。


「コイツは俺のだからな。」



えっ?
えっ?
え〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?
あの乱馬がこんなこと言う!?
ゆ・・・夢?



「ちょ・・・ちょっと・・・。乱馬?」
私は恥ずかしくって乱馬から離れようとした。
でもスゴイ力でびくともしない。




「ちぇっ。んだよ。男つきかよ。馬鹿馬鹿しー。」
彼らは呆れた顔をしその場から去って行った。



「ね・・・ねぇ、乱馬。もう行ったよ?」
私は乱馬の腕の中でおずおず声を掛けた。
「・・・・か・・・・。」
「えっ?」
「・・・こんの馬鹿っ!!!」


な゛っ・・・・!!
馬鹿ですってぇ〜〜〜〜〜〜!


私は乱馬の腕を払った。
「馬鹿ですってぇ〜〜〜〜〜!」
「あぁ。そうだね。あかねの大ばかやろーっ!」
「何ですって!!」
「こんな海外に来てまで他の男に絡まれてんじゃねーよっ!」
「なっ!!大体ね〜。誰のせいでこんな目に・・・・。」
するとまた私は乱馬に抱き締められた。
「良かった・・・。無事で・・・。」
「乱馬・・・。」

私はゆっくり乱馬の背中に腕を回した・・・。




「命令。」
「えっ・・・?」
「旅行中どんなことがあっても俺から離れるな。命令だからな。」
「乱馬・・・。」
「あかねは奴隷だから俺の言うこと聞かなくちゃいけねーんだからなっ!」
「・・・・・・。」
私はじーっと乱馬の顔を見つめた。
「んだよ・・・。」
乱馬は恥ずかしそうに私の方を見た。
「旅行中だけ?」
「へっ?」
「旅行中だけでいいの?」
「なっ・・・!!!・それは・・・だな・・・。」
「そっか・・・。旅行中だけなんだ・・・。」
「ばっ・・・馬鹿野郎っ!!」
「だって・・・。乱馬が・・・。」


「一生だっ!一生!!!俺のそばから離れるなっ!!!分かったかっ!!」


乱馬の顔はもう耳まで真っ赤。


「うんっvv」
私はそう叫ぶと思いっきり乱馬に抱きついた。



乱馬。大好きよ。
これからもよろしくねvv


=おわり=

「ひなたぼっこ」の清華サマから頂きました。乱あの新婚旅行です!!清華サマのご結婚の際、おめでとうございますvとの気持ちを込めてイラストをいきなりお送りしてしまいましたが(汗)、なんとその時に小説のリクエストをさせて下さったのですー!早速「新婚旅行」をお願いさせて頂きましたっ
2人のやりとりの中にも愛がじんわりと出ていて、ラストの乱馬くんがハッキリ言った言葉に結婚を機に更に頼もしくなった彼がステキですv清華サマ、ありがとうございました!

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