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俺の名前は早乙女乱馬。私立探偵だ。
警察に頼まれてなん事件も解決しているんで、一応名探偵って事になるかな。
頼まれれば子供の落し物から不倫の尾行まで、犯罪以外なら何でもやる。
心優しい探偵さん、て事で街のみんなに慕われている。
と、ここまでは俺の表の顔。
本来の俺の仕事はSniper。つまり殺し屋だ。
当然危ない橋を渡るんだからそれ相応の報酬は頂く。が、気にいらない仕事は引き受けねえ。
例えば、ターゲットが子供とかな。(あるんだよなぁ、たまに。そういうとんでもねえ依頼が。)
ま、俺なりの倫理って奴かな。
ある日俺は同時に2つの依頼を受けた。
1つは、とあるパーティーの席でかなり高額な宝石を守ってくれと言う事。
もう1つは1つ目の依頼者を始末して欲しいと言う事。
1つ目は表の仕事で、依頼者は金持ちの中年男。宝石を最近売り出し中のこそ泥から盗んでやると予告状を貰ったんでその宝石を守って欲しいということだ。
実はこの依頼者、裏でかなりあくどい事をやって稼いでいるらしい。
麻薬のシンジゲートの陰のボスだって噂までありやがる。
なんだか今ひとつ気が乗らなかったが何でも引き受けるが俺のモットーだったし報酬もなかなかのものだったんでこの依頼を引き受ける事にした。
そしたら2つ目の依頼が来た。今度は裏の仕事。
こちらの依頼者は最近夫を無くした未亡人。なんでも、1つ目の依頼者の罠に嵌って夫を事故に見せかけて殺されたからその敵を討って欲しいというものだった。
殺される前にも散々ひどい目に合わされていたらしい。
俺はターゲットの噂の裏をとるために夜の街に出た。
ビルの陰で情報屋と待ち合わせる。
金を払い俺は1枚のCD-Rを受け取った。
この情報屋、一見ただのOLのようだが、なかなかの切れ者だ。最新の機材を揃えているし、情報収集のためにはハッキングだってやらかす。敵にはしたくない奴の一人だ。
もちろん情報は正確。報酬もとびきりだがな。
家に帰りPCを起動する。そして奴から受け取ったCD-Rを読み込む。
そしたら出て来る出てくる。男の悪行の数々。
麻薬シンジゲートのボスも事実のようだ。
闇金融もやっていて借金漬けにした挙句に奥さんや娘を海外に売り飛ばしている。
こいつのせいで首を括った奴らが五万といる。
「ったく、むなくそ悪い奴だ。」
つい声に出る。
とりあえず俺は、探偵としての任務を果たし、報酬を頂いた後にターゲットを始末する事にした。

予告のパーティ当日、男の家に集まったのはどれもひと癖もふた癖もありそうな奴ばかりだった。
いや、一人だけ違う。そいつは男に寄り添うように居た。そいつの周りだけ輝いていた。
透き通るように白い肌。大きな瞳。首の細さを際立たせる短い艶やかな黒髪。
背中の大きく開いた赤いのドレスからしなやかに伸びた腕、引き締まった背中。
何であんな美女があの男と一緒にいるんだ?俺は軽い嫉妬を覚えた。
「おお乱馬くん。来てくれたか。」
「はい、仕事ですから。」
「大丈夫かね?」
「もちろんです。」
「じゃ、後は任せたよ。よろしく頼む。さ、あかねちゃん行こうか。」
男は女を連れて他の招待客のもとへと去って行った。
けっ、そんな暢気にしていられるのも今のうちだぜ。いずれお前は地獄に堕ちるんだからな。
でもなんだろう。あのあかねとかいう女。立ち去り際に俺の方を見て意味ありげに笑いやがった。
気を取り直して俺は、状況を確認しようと、会場内をチェックし始めた。
問題の宝石は・・・と。あった。会場中央のテーブルにガラスケースに入って陳列されている。
そしてその周りを取り囲むように配置されたテーブルには食べ物や飲み物がたくさん並べられている。なるほどな。ビュッフェスタイルにしておけば常に誰かが宝石のそばにいるからそう簡単には近づけないって事か。でも犯人が客に成りすましていたら?
怪しい奴はいないかと会場内を視まわした。
ん、なんだありゃ。会場の片隅に置かれたパネル。それには数字とコード番号のようなものが表示されている。その脇にはいかにも私はボディーガードですっていう風体の男が立っている。
客の一人がそこに近づき何か操作をしている。するとパネルに表示されている数字とコード番号が変わった。
暫くするとまた別な客が近づき操作をする。またパネルの表示が変わった。
客が近づくたびパネルの表示は変わった。しかも数字はだんだんと大きくなっている。
何だこれは?まさかあの宝石の取引か?
そう思った時会場の闇に包まれた。
「きゃああああああああ!!!」
「あ、あかねちゃん。」
「助けてえ!!」
男とあの女の声が響いた。
「取り敢えず女は預かった。命が惜しかったらそこから動くんじゃない。」
別な男の声がした。
ガシャーン
ジリリリリリ・・・・・・
ガラスの割れる音がともに鳴り響く警報機。
しまった。宝石!!
俺は急いで携帯用赤外線スコープを付けた。
窓から外へ逃げる影。俺はそいつを追った。
屋根の上に逃げたその男・・・・・・。いや男じゃない女だった。
「お、お前・・・・・。」
そこにいたのはさっき犯人にさらわれたはずのあかねだった。
「やるわね、探偵さん。ここまで追って来るなんて。」
夜風にドレスの裾をなびかせてあかねが言う。
「まさかお前がこそ泥だったとはな。しかもさらわれたふりとは。」
「こそ泥とは失礼ね。怪盗と言って欲しいわ。それにさらわれたふりをしておけば会場から私が消えても不自然じゃないでしょ?」
そう言って不敵な笑みを浮かべるあかね。
「だがな、宝石は返してもらうぜ。」
「嫌よ!!あなたもうすうす感づいていたんでしょう?今日のパーティー本当はこの宝石のオークションだって事。」
「ああ、そうじゃないかと思った。」
「あの男ねこうやって時々盗品や、闇ルートで仕入れた物をお金に換えてるのよね。この宝石だって人を罠に嵌めて手に入れた物だし。」
そう言ってあかねは苦々しい表情をした。なんか訳ありなのか?
「でも、お前がやってる事も泥棒には違いねえだろ?」
「でも私は悪人が不正に入手したものしか盗っていない!!この宝石だって、本来の持ち主に返すんだから。」
強い瞳で言い返された。
「だからってはいそうですかと引き下がれるか!こっちだって仕事なんだからな。」
「でも、あなたの貰う報酬だってあいつが悪事で稼いだ汚いお金よ。」
それを言われるをつらい。今まで俺がスナイパーとしてターゲットにして来た奴らは皆、悪党ばかりだったし、悪党からの依頼も受けてなかった。
しょうがねえ、予定変更だ。探偵としての俺は今日の仕事をしくじった事にしよう。
その代わり、もう一つの仕事はきっちり片を付けてやる。
「しゃあねえな。とっとと行けよ。でないとおめえに殺人の疑いがかかるぜ?」
「え?どういうこと?」
「さあな。ほら早く行けよ。それともその宝石俺に渡すか?」
「じ、冗談じゃないわ。行くわよ。じゃあね、探偵さん。」
ひらりと身を翻しあかねは去って行った。
会場に戻ると照明は回復していた。
割られたガラスケースの前にいた男は俺を見ると急いで寄ってきた。
「乱馬くん。宝石は取り戻せたんだろうね。」
おいおい、さらわれた女の心配より(ふりだけど)より宝石の心配かい?
「・・・・申し訳ありません。逃げられてしまいました。それにあの女性も・・・・。」
「女なんかどうだっていい!!私は何のために高い金を払って君を雇ったと思っているんだ!!」
「はい、本当に申し訳ありません。ですから今回の報酬はいりません。」
「当たり前だ!!もういい。帰ってくれたまえ!!」
男はすごい剣幕で俺を怒鳴り付けた。ま、無理ないよな。依頼を果たせず交換宝石を採られちまったんだから。
俺は帰るふりをして物陰へと移動して、招待客に申し訳なさそうに頭を下げる男の姿を確認した。
そして俺は懐に忍ばせておいた愛用の銃を取り出し奴の額に狙いをつけた。
翌日の新聞に、奴の死亡記事が載っていた。しかし宝石の盗難については何も触れられておらず死因も病死となっていた。
例の情報屋から得た情報では、宝石の盗難から射殺まで間がある事と、男はかなり多くの人から恨みを買っていたと言う事で、盗みの犯人と殺しの犯人は別人だろうと言う事になっているようだ。
何日かして探偵としての俺宛に1通のメールが届いた。
『探偵さん(殺し屋さんと言った方がいいのかしら?)へ
なかなかやってくれるじゃないの。
今度あたしと組んで見ない?
また縁があったら会いましょうね。
あかねvv』
本当に、縁があるような気がするぜ・・・・・。

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