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「束縛」
「乱馬なんていなくたって、全然寂しくない。」
・・・本当は。
そう言いながらも、「会いたい。」って思ってる私がいた・・・。
夏休みが始まると同時におじさまと修行に出掛けた乱馬。
どこに行くかなんて分からなかった。
おじさまは気まぐれだからいつも行き当たりばったりで、
場所がコロコロと変わる事がとても多い。だからカレンダーを見ても
「今日はこの辺りにいるのね。」
って、想像する事も出来なかった。
「アイヤー、乱馬は修行に行ったあるか。
ますます強い男になって、私にふさわしい婿になるある。
帰ってくるのが楽しみね! あ、出前の途中だたね。」
・・・シャンプー。
「乱ちゃん、がんばるなあ。夏休み始まったばかりやのに。
前へつき進む乱ちゃんはさすがうちの許嫁や。
うちもそんな乱ちゃんを養う為にこの夏も商売がんばるで!」
・・・右京。
「せっかく我が別荘にご招待をと思っておりましたが、
もう出発されたのですわね。なら仕方ありませんわ。
お戻りになり次第、この小太刀。いつでも会いに参りますわ!」
・・・小太刀。
みんな、どうしてそんなに自信があるの?
ちゃんと自分の意志をしっかり持ってて、自分の道をつき進んでる。
「寂しい? あかね。」
「そんな事ないわよ! 静かに過ごせてせいせいするわ。」
なびきお姉ちゃんの言葉に、正反対の返事。
・・・だって。
認めたら、きっとくずれてしまう。
自分が自分じゃなくなって、どうしていいのか分からなくて
「会いたい。」
そんな自分を見失ってしまう引き金のセリフ。
無意識に言ってしまいそうになるから・・・。
今の私と乱馬を繋ぎ止めるものなんて、何も見当たらなかった。
そして私自身を支えるものも、何もない。
せめてこの夏私も成長をしないと、このままじゃ、きっといけない・・・。
「あかね、がんばってるわね。この夏はとっても楽しそうよ。」
「うん、お料理が上達したような気がするの! まだまだいろんな料理を
作ってみたいなあ。」
優しいかすみお姉ちゃんにも、気付かれないように元気いっぱいに応える。
お父さんやおばさまにも、いつものように明るく振る舞って・・・。
だけど、夜には堪え切れなくなって、ベッドの中で必死に耐える。
聞きたい。
・・・彼の声が。
見たいの。
あの姿を・・・
『あかね。』
いつもみたいに私を呼んで。
優しい笑顔を傍で見せてよ。
今、どこにいるの?
何をしているの?
自分の事ばかりに必死で、私の事は少しも思い出してくれないの?
さびしい。
本当はすっごくさびしいよ。
1人じゃもうどうしようもなくって、心がまるで
あなただけに縛られているようで。
もがけばもがく程、心が締め付けられていく。
いつの間にか、自分の気持ちが押さえられなくなってきて・・・。
会いたい。
会いたいよ。
私を独りにしないで。
・・・・・・乱馬・・・・・・。
to be continue.
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