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「ふぅー、結構買物しちゃったなー。」
買物帰り、 あかねは駅で友達とも別れ一人家路についていた。
両手に買物袋を下げて、楽しさとちょっと疲れも感じている。
日曜日でいい天気、街は人で溢れかえっていてみんなとても楽しそう。
あかねも友達とはしゃぎながら、いろんなお店を覗いたりしていた。でも
仲のよさそうなカップルを見た時は、ちょっと羨ましい気分になってしまった。
「ま、乱馬と2人であんな風に出かける事なんてないし。友達と買物してる方が
よーっぽど楽しいわよ。」
誰に言う訳でもなく1人つぶやいてしまう。だけど、一緒に出掛けたりしたら
嬉しそうに笑う自分がいるのかな・・・。と考えたりもする。
せっかくの日曜日。こんな気分のまま帰るのも嫌だなあ・・・。
ちょっと道を変えて帰る事にした。普段知っているハズの街も、ふと道を変えれば
こんな場所もあったんだ。と新鮮な気持ちになることもある。
あれ・・・。かわいいお店がある・・・。
ふと立ち止まり、少し離れた場所にあるお店を発見。
そのお店の前へと方向を変えて行ってみた。
新装開店したばかりで白壁のカントリー風なお店。窓から見える店内には
いろいろと雑貨が飾られており、ゆったりくつろげそうな雰囲気。
あかねは時計を見る。まだ4時を少し回ったところ。
「夕食にはまだ時間あるし・・・。少しお茶を飲んでいこうかな。」
1人で喫茶店なんて初めてかも知れない。
少しドキドキしながら、でも好奇心でワクワクもしながら入っていった。
カラン、カラン
「いらっしゃいませー。」
ウェイトレスが席に案内してくれる。外から見た感じそのままのかわいい店内。
お客さんも結構入っていて、それぞれの時間を楽しんでいる。
荷物を置き、席につくとメニューを開いた。
わぁ、ケーキとかもおいしそう!でも夕食前だからお茶だけね。
いっぱいあるから迷っちゃう・・・。
メニューの中からアッサムティーを選び、しばらくするとカチャカチャと
かわいいティーセットがテーブルに並んだ。
優しい音楽、アッサムのほのかな香りが気持ちを安らいでくれる。
今度、さゆりやゆかも連れてきてあげよう。いい場所みつけちゃったー!
友達のはしゃぐ様子を思い浮かべながら、お店にあった雑誌を見ながらくつろいでいた。
・・・しばらくすると、 誰かが近くに来る気配を感じる。
え、誰?
雑誌から目を離して見上げると、誰だか知らない男の子が立っていた。
「君、一人なの?よかったら、ここ座っていいかなあ?」
大学生くらいの男の子。茶髪でピアスをして、結構かっこいい感じの人だった。
でもあかねには当然興味が湧くハズもなく、断る理由を探す。
「ごめんなさい。・・・待ち合わせなんです。」
こういう時、あかねにはとっさにいい断り方なんて思い付かない。誰とも約束を
している訳ではないが、ひとまずはこれで大丈夫、とそっけなくする。
ティーポットから紅茶を注いで、また雑誌に目を通してくつろいでいた。
・・・15分程たっただろうか。
「ねえ、まだ待ち合わせの人来ないじゃん。きっと来れないかも知れないからさ、
俺と一緒しようよ。」
さっきの大学生がまた声をかけてきた。
・・・しつこいなあ。もうお店でようかな?
まだ紅茶は残ってたけど、ゆっくりできそうにもない。
荷物を手に取り、立ち上がる。
「・・・もう帰りますんで。」
「じゃあ、一緒にでようよ。」
えっ!?ついて来る気??
驚くあかねに構わず、親し気に傍に来る男の子。
「荷物も持ってあげるよ。」
と勝手に持とうする。・・・ちょ、ちょっと!
カラン、カラン。
「いらっしゃいませー。」
その時、お店の入口にお客さんが入ってきた。目に写ったのはよく知っている人・・・。
「よお、あかね。」
聞き慣れたその声。少し汗をかき、動きやすいトレーニング用のチャイナ服に、
スポーツタオルを肩にかけていた乱馬。
驚いてそのまま立っているあかねの傍に来て、大学生をジロリと睨む。
「・・・悪いけど、俺の連れだから。」
威嚇するように静かに言うと、大学生はちょっと悔しそうに、その場を離れていった。
乱馬はそのまま向かいの席につき、ウェイトレスの持って来た水を飲み干す。
「なに、つっ立ってんだよ。」
「・・・待ち合わせしてたっけ?」
「ばーか、してるわけねーだろ。ランニングで走ってたら、店ん中が見えたんだよ。」
ナンパされてたのが見えたんだ。そっか、だから入って来てくれたのね・・・。
ランニングでの汗をタオルで拭きながら、意地悪そうな顔で見上げる乱馬。
「助けてやったんだからさ、そのお返しはねーのか?」
「・・・あんた、タカる気ね・・・。」
あきれながら椅子に座り直す私に、ちょっと膨れて言う。
「っとに、かわいくねーなー。ケーキのひとつぐれー、いいだろー?」
いいよって言ってないのに、もうショーウィンドウに並んだケーキを物色していた。
まだ紅茶残ってるし、まあいいか・・・。
頼んだケーキがくると、お腹がすいていたのかおいしそうに食べてる乱馬。
ゆっくり紅茶を飲んでいるあかね。
・・・そういえば、こんな風に外で2人で過ごす事なんてないよね。
2人きりで出掛ける事も滅多にないし、待ち合わせする事もない。
偶然見つけたかわいい喫茶店。友達と一緒にとも思ってたけど先に乱馬と
過ごす事ができた。
窓の外を見ると、少し辺りも暗くなってきている。
その窓に写って見えたのは、今日街で見かけた仲のよさそうなカップルのような
自分達の姿。そして、さっきまでの憂鬱な気分なんてどこにもない、
幸せそうな表情のあかねがいた。
end
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