| 【ツボ】 |
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試験中、連日続くお勉強に少し疲れがたまってきているみたい。
「ふ〜、・・・ちょっと背中が痛いなあ・・・。」
かすみから頼まれた買物の帰り。夕方の商店街は家路につく人が多かった。
首を軽くまわし、右手で左肩をキュっと掴んでみる。
・・・少し気持ちいいかな?
でも買物袋を左手で全部持っているので、どうしても肩に力が入ってしまう。
こんな時は気晴らしに道場で動いた方がいいのかも。
ひとり言のようにぶつぶつ言っていると、後ろからくすくすと笑う優しい声がした。
「どうしたの?あかねちゃん。なんだか、家事にひと段落したって感じの
若奥さんみたいだよ。」
振り返ると、口に手をあてて微笑んでいる東風先生。
わっ、な、なんかだらしなく見られちゃったかな??
ちょっと恥ずかしくなり、あははと誤魔化し笑いをする。
「こんにちは、東風先生。先生もお買い物?」
「うん。1人だから毎日は行かないけど。奥さんは大変だね。」
「もうっ、私はまだ高校生です!」
軽く笑いながら冗談を言う先生。・・・やっぱり大人だなーって思っちゃう。
乱馬なんてどんな時にも悪口ばっかりなんだもん。
・・・まあ、あいつに対しては私も負けじと返すけど。
「肩がこってるみたいだけど、荷物が重いのかな?」
「あ、違うんです。今、試験中だから椅子に座ってる事が多くて。
なんだか背中とか痛くなっちゃってるんです。」
「あぁ、同じ体制でいるんだね。ツボを押したら少しはマシに
なると思うけど・・・。うん、そうだ。
一人で気軽にできるツボ押しの本があるから、試してみる?」
「お借りしていいんですか?」
「うん、ちょっと寄ってくれるかな? 寝る前にでも試してみるといいよ。」
東風先生の病院に寄って借りてきた一冊の本。
ペラペラとめくると、初心者の私にもどの辺りのツボかとてもわかりすい。
うん、これなら私にもできそうかな。
お風呂上がりで勉強も一段落。今日はこれでおしまい!
早速借りた本を拡げて、試してみる。
ベッドの上で背中に両腕を回して、親指をあててみた。
う〜ん、もうちょっと上の方がいいかな?
・・・って、いたたた。
片腕は逆からまわしてみる。あ、こっちの方が気持ちいいかも。
なんてやってる内にベッドにバタッと倒れ込んじゃった。
はぁ、体が固くなったのかなあ。
座ってるより寝転がってした方が押しやすいかも??
何て思いながらいろいろ体制を試していると、ヨガみたいなポーズになってきて
ちょっと大変な状態に。
い、いたい・・・。
「あかねー、入るぞー。」
突然ドアが開き、乱馬が教科書とノート片手にやってきた。
「・・・お前何やってんだよ。そんなかっこしても寸胴は治らねーぞ。」
・・・ピキッ
いきなり入ってきてバカにするなんて、なんて奴っ
「何よ、その言いぐさ。入る前にノックぐらいしなさいって
いつも言ってるでしょ! バカッッ」
「バカとは何だよ、人が親切に言ってやってるのに。」
偉そうに言いながら、ずかずかとそばに寄ってくる乱馬。
もうっ、入っていいなんて言ってないのに!
「何の用よっ。今取り込み中なんだから!」
「明日英語の試験だろー? この前ひなちゃん先生が言ってた出そうな問題を
教えてくれよ。」
「・・・何で試験前日に聞いてくるの。そんなのちゃんと前もって勉強
しておきなさいよ。」
「そんな無駄な事はやんねーの。」
なにイバッてんのかしら。
人に物を頼む時ぐらい下出にでなさいよね。
「じゃあ、その変わりにこの本にあるツボを押して。」
「あー? この俺にマッサージをさせるつもりかあ?」
「・・・何よ、別にいいもん。なら自分でする。
あんたも自分で英語の勉強すればいいじゃない。」
出そうな問題がどれか解らないから勉強のしようがないもんね。
乱馬はぶつぶつと「何で俺がこんな事を・・・。」と言いながら、
ベッドに腰掛けツボ押しの本を手にとる。
うつ伏せに寝転がってる私の背中に手をあてて、ツボらしき部分を押してきた。
「この辺りかー?」
「きゃっ、痛い、痛い! もう少し優しく押してよー!」
「ったく、これぐらいで痛いって言うなよ。・・・この強さでいいのか?」
あ、なんか気持ちいい。やっぱり背中こってたのね。
「う〜、やっぱり効くわね。勉強のしすぎなのかな? 乱馬はこらないでしょ。」
「俺は運動神経がいいから筋肉痛とか、こったりとかしないの!
・・・ほら、もういいだろ?」
「もうちょっと! 次は腰のあたりも痛いの。」
「まったく・・・。」
本をペラペラめくりながら、ツボを確認して腰のツボも押してくれる。
う〜、背中より腰の方がこってるみたい〜。
やっぱり座りっぱなしだったからかなあ。
「・・・おい、もう十分だろ?」
「だめ! 肩より腰の方がこってるんだもん。もう少しだけ押して。」
「・・・・・・。」
なんか、気持ちよくって寝ちゃいそう。乱馬の手もあったかいし・・・。
・・・ん? 乱馬やけに静かじゃない?
「・・・どうかした?」
はっ! とした乱馬は手を止めて、私からあわてて離れた。
・・・何アセってるのかしら?
ベッドの端にいった乱馬が私から目をそらして何か考えてるみたい。
私は身体をゆっくりと起こし、乱馬の方を見た。
何なのよ、もう・・・。
「・・・あのよー、お前何とも思わねーの?」
は? 何を言ってるのかしら?
まさか、寸胴が気になってしょうがないなんて言う気じゃないでしょうね・・・。
「何よ。英語の勉強教えて欲しいんでしょ? だからツボ押ししてくれて・・・」
「じゃなくって! ベッドの上でこんな体制で!!
俺に身体を触れられて平気なのかって聞いてんだよ!!」
!!!・・・なっ!!
そ、そんな事全然思いもしなかった・・・!
ちょ、ちょっと!
変な事言うからまともに乱馬の方を見れないじゃないっっ!
両手で顔を押さえてみると、かなり熱くなってきた。きっと真っ赤になってる!
・・・もうっ!なんて事いうのよ、乱馬のバカバカバカッ!!
ちらっと乱馬の方を見てみると、乱馬も顔を真っ赤にしてそっぽ向いてる。
ど、ど、どうしよう・・・。
「・・・あ、い、いや、そ、そんな意味じゃないんだ。
別におめーの寸胴触っててもそんな気が起こるわけねーし・・・。
た、ただ、おめーが嫌じゃないんなら、俺は・・・」
・・・・・・むかっ。
ちょっと、一言多いわね・・・。
そんな事言われて、どう答えればいいっていうのよっ。
何を言うか思い付かずに、ただ乱馬の方をじーっと見る。
乱馬はそんな視線に気が付いて、あかねを見つめ返す。
だが、さっと顔を反らして立ち上がった。
「・・・悪かったよ、変な事言って。やっぱ嫌だよな・・・。じゃあ・・・。」
バツが悪そうに部屋を出ようとする。
へっ? ちょ、ちょっと待ってよ!
「わ、私、別に嫌がってるわけじゃなくって!
乱馬だから触られても平気なのっ!!」
げっ
私何言ってるんだろ・・・!!
乱馬もびっくりして、こっち見てる。
そ、そーじゃなくって、
わ、私が言いたいのは・・・。
「あかね・・・?」
わっ、なんか真剣な目してる??
あ、あのぉ・・・。
またベッドの端に座り直して、私の方をじっと見てる。
あぁ、そんな目で見ないでよぉ
何を言えばいいかのかわからくなるじゃない・・・。
いつになく真剣な目でまっすぐに私の目を捕らえてる。
そろそろと手をのばしてきて私の肩にそっと触れた。
びくっ。
驚いて身体が固まる。
・・・だけど嫌じゃない。
うん。乱馬に触れられても嫌じゃない・・・。
乱馬になら・・・、触れられても平気。
目を反らさずにじっと乱馬を見つめ返していると、
乱馬がほっとした表情になった・・・?
優しく見つめられたまま、少しずつ私との距離が近くなってくる。
潤んだ瞳に捕らえられたみたいに、私の強張っていた身体から力が抜けていった。
肩にある乱馬の手が温かくて、引力みたいに引き寄せられる。
吐息があたるくらいに乱馬を傍に感じる。
おでこに自分のじゃない前髪がさらりと触れた。
このまま見つめ続けていると、ドキドキが止まらなくなりそうで
私の瞼が自然に閉じていった。
あ・・・
もう距離がなくなり・・・そう・・・・・・。
「はあ〜、勉強熱心なのもいいけどねー。そんな勉強はドア閉めてやってくんない?
通るたんびに丸見えなのよね、あんたたち。」
バッッッッッッ!
2人とも、とっさに離れてドアの方を見る。
なびきがジュース片手に開け放たれているドアのところで立っていた。
「さっきから何度も通ってるんだけど、開けっ放しなのよドアが。
ま、閉めといてあげるから、ゆっくりと仲良くやんなさい。」
パタン、と閉められたドア。
固まる2人。
・・・勉強なんてできるハズもない。
離れた体制のままで、私達は会話する事も忘れたようだった。
何ごともなかったかのように、実際、何ごとも起こらず
乱馬はがっくりと肩を落として自室に戻り、後にはボーっとしている
あかねがのろのろと電気を消して、布団にもぐり込んだ。
なびきの粋な計らいもむなしく
その夜は、ただただ悲しく静かに更けていった・・・。
翌日のテストで、何一つあかねに教わる事が出来なかった乱馬は、
さんざんな結果を迎えてしまったようだった。
テストの出来が悪かったからなのか、昨日未遂で終わったからなのか、
答案用紙を出した後、がっくりと机の上で俯せて不貞腐れる乱馬。
はあ、ノックせずに入るのも何だけど、ドアぐらいは閉めてよ・・・。
乱馬のばか・・・・・・。
end |
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また、発掘してしまったっ(汗汗)コレは一年前くらいに書いたものでして、ラブコメっぽくしてみたいな〜なんて思ったお話でした。というか、ただ単に乱馬くんとあかねちゃんの照れているやりとりってのを想像してて楽しかっただけだったりして。
やはり読み返してみると悲鳴を上げそうになったので、手直ししてのUP。でもでも、もう少し甘い雰囲気を書けるようになりたいようっ(><) ちなみにツボ押しの本を買って持っています。一人でも気軽にできるなんてステキ!とか思ったけど、やっぱりツボ押しは自分でするとしんどいだけですね・・・。
お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、Refuge での「月明かり」のワンシーンは、先に書いていたこのお話から考えたものでした。なのでこのお話も似てるから掲載は辞めておこうと思ったけど展開が違うし、せっかくなので今回のUPですv |
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